



『蟻が空を飛ぶ日』撮影風景

『蟻が空を飛ぶ日』初日舞台挨拶。新宿ケイズシネマ |
演技ワークショップを開催することにあたって。野火 明
『演技とは別の人間になることではなく、自分という人間が別の人生を生きるということ』 スタニスラスキーが伝えたかったことはそういう事だったはずである。そのために最も必要なものはイマジネーションである。そのような仮説を元に映画で通用する本当にリアルな演技を追究するワークショップにしたいと思ってます。
私の事務所、ワイルドファイアで製作・配給の映画『蟻が空を飛ぶ日』の東京での公開も終わり、地方公開に向けて動いています。そして次の映画の製作準備も進めているところです。
これからは年に一本の劇場公開長編映画の製作。そして、短編映画も4本くらいは製作してゆきたいと思っています。
『蟻が空を飛ぶ日』は頭から30分のみYouTubeで公開中是非ご覧下さい
長年、映画を作って来てつくづく思うのは、役者の事です。どんなに面白い脚本が出来たとしても、それを表現するのは役者です。役者が良くなければ面白い映画にはなりません。だから良い役者が喉から手が出るほど欲しい。映画を作る側の人間は皆そう思っているのではないでしょうか?でも、なかなか良い役者というのはいないものです。
いつも困るのが、監督の意図をなかなか理解出来ない役者が多い事です。つまり独りよがりになっている人が多い気がします。そもそも役者というものは、役者だけで成立するものでは無く、脚本、監督、カメラ、があってはじめて成立するものです。ピン芸人、漫才師、落語家、とは違います。脚本や監督の演出意図を理解出来なければ何も始まりません。
今回、『映画のための演技』と副題を付けましたが、まず演技とは、その目的によって、求められることがまるで違ってくるからです。
教育のための演技。
舞台のための演技。
テレビのための演技。
映画のための演技。
教育のための演技。
学芸会などの演技です。恐らく子供の表現力を養うために行われていると思います。多くは間違った演出で大げさでわざとらしい演技が奨励されがちです。
舞台のための演技。
やはり演技の基本になるので一番大事だと思います。ただ、広い会場で行われる事が多く、どうしても表情や動きが大きくなりがちになります。役者の細かな感情が伝わりにくいので、それを補う芝居をする傾向にあります。
テレビのための演技。
舞台の演技に近いものがあると思います。あるいはもっと、分かりやすい演技が求められる傾向が強い気がします。
映画のための演技。
映画とは基本的に監督の作品です。基本的には、脚本も衣装もカメラも全てが監督の演出意図によって作られていきます。役者の芝居も細かい演出意図があります。監督の意図を良く理解する力が必要になります。それから映画の場合、テレビよりもさらに高いクオリティが求められます。タダで見られるテレビより、お金を払って見る映画の方が演技のクオリティが低いのはおかしいと誰でも思いますよね?
クオリティの高い演技とは、その役の気持ちが観客に良く伝わること。大げさに見えないこと。魅力的であること。力強いこと。美しい事。等々。
この『映画のための演技』に限定して演技の授業を行ってゆきたいと思います。『映画のための演技』ですが、クオリティの高い演技を目指してゆきますので、ここで培った事はテレビや舞台でも役に立つのではないかと思います。演技経験者の方はもちろん。全くの未経験の方にも気楽に参加してもらえればと思います。 |